老婆救済
夜になり腹が減ったので近所のコンビニに嫁とテクテク歩いて向かってる途中
正面から歩いて来たおばちゃんが目の前でいきなりぶっ倒れた。あまりに突然
の出来事だったのでよく状況が理解出来ていなかったのだが慌てて駆け寄って
介抱してみると普通に酔っぱらって寝てる様子。しかしさすがに冬に屋外にて
泥酔して寝てたらかなりの確立で凍死する事が想定されたので必死に起こす。
わりと真夜中で人通りが少なかったのだが野次馬としてタバコ買いに来ていた
通りすがりの酔っぱらいが約1名。「タバコ買いに来たんだけどこのタバコが
どこにも売って無くてさー三軒目でやっと見つけたよ」と言って絡んでくる。
ああそうですかそれは良かったですねと口では言いながら心ではゴーホーム。
空気を読めてない酔っぱらいはその後も「いやぁ今時こんないい酔っぱらい方
を出来るなんて幸せだ!」と大声で連発。その後何やら耳打ちをしてくるので
聞いてみれば「この人は幸せだよ」と見事なまでに本音と建前が合致してた。
野次馬を追っ払いぶっ倒れたおばちゃんの介護に復帰。何とか目を覚ましたが
自力で歩けない状況なためとりあえずタクシーを止め乗せる事にこれで問題は
解決かと思われたがむしろそこからが大変だった。軽く身の上話から始まって
なぜ今こんなにベロンベロンになってるのかを一から説明してくれた。その際
どうも自分がそのおばちゃんの思い出の中の誰かに似ているのか同じ雰囲気を
感じるからか妙に目がキラキラしており終いにはポロポロ泣きだし手を合わせ
拝み始めたりしてた。これまでの人生経験から自分が初対面の老女から人気を
集める才能の持ち主である事は知っていたが拝まれた事はさすがに無かった。
万が一おばちゃんが無一文だとヤバいので一応目的地までの運賃をあらかじめ
タクシーの運転手に払い無事発進。ちゃんと家まで帰れたか不安だが連絡先を
聞いたので明日にでも電話をして一応確認してみようと思う。これ全部実話。