部屋の片付けをサボっていたら

 いきなり嫁に離婚を持ちかけられた。いや何となく言いたい事は分かるけれど
 それはあまりに唐突過ぎだろというわけで作戦会議。とりあえずは嫁の意見を
 聞いてみると部屋が片付かなくて我慢の限界よって離婚との事。実に単純だ。
 しかし犬か猫で言えば従順な盲導犬よりドラ猫が好きな自分としてはこの程度
 では凹まない。高い木の上に登って一人で降りれなくなった猫をそっと連れて
 木から降りてくるように慎重に言葉を選んで嫁の不満を解消する糸口を探す。
 いずれにせよ自分が部屋を片付けないといけないのは仕方が無いとして全てを
 一気に片付けるのは無理な事から妥協案として毎日嫁が片付けて欲しい場所や
 行って欲しい行動を二つまで提示する事が出来る権利を与えた。それと同様に
 自分にも一日につき一回の拒否権を与えて仮に毎日拒否権を発動したとしても
 嫁の願いは一日に一つの割合で叶うというシステムが構築された。それだけで
 終わらないのが自分の素晴らしいところで拒否権を得る代償として一日に一回
 自分で気が付いた場所を自発的に片付ける事を決意した。日毎に二〜三箇所が
 片付けば嫁の機嫌も良くなり離婚撤回。すぐ部屋もピカピカといい事だらけ。
 こうしてブチ切れ気味に離婚話を持ちかけてきた嫁は泣いて喜びましたとさ。